第15回「日本」では以下の内容を学んでいきます。
=第15回「日本」で扱う主な内容=

生産順位やワイナリーの稼働数
日本ワインの歴史
ワイン法
酒税法における種類の分類
日本ワインのラベル表示ルール
日本における地理的表示制度 (GI)
代表的なぶどう品種、交雑、交配種
栽培方法
主な生産地
北海道、岩手、山形、新潟、長野、山梨、大阪etc
全範囲の中で最も細かい知識が要求される範囲です。
近年ではワイナリーの名称や場所はどこにあるか、また日本のワイン歴史の変遷も細かく出題されます。
合格した後も必ず役に立つ知識なので、暗記に頼らずしっかりと理解を深めていきましょう。
【Point】日本のワインの歴史を細部までおさえよう

718年・現在の山梨県勝沼町の大善寺に現れた薬師如来に従い、僧の行基がブドウの種を撒き栽培法を教えた。
1186年・勘解由が現在の山梨県勝沼町にあたる祝村の「城の平」で山ブドウの変生種を発見、改良して甲州種を生む(雨宮勘解由説)。
1874年・明治初期、山田宥教、詫間憲久が甲府で初めて本格的なワイン造りを始める。
1877年・現在の勝沼に当たる祝村で、初めての民間ワイナリー「大日本山梨葡萄酒会社(通称 祝村葡萄酒醸造会社)」が設立された。
・同社の高野正誠と土屋助次郎が、栽培・醸造を学ぶために渡仏。
1893年・川上善兵衛が新潟県で「岩の原ブドウ園」を設立。日本独自の改良品種を開発する。
1926年・山梨県のワイナリーは319軒に達する。
1927年・川上善兵衛が、マスカット・ベーリーAやブラック・クイーンなど独自の交配品種を開発。
1939年・山梨県のワイナリー数が3,694軒に達する(史上最高件数)。
1940年代半ば・太平洋戦争末期、ソナー(水中聴音機)の資材用の酒石をワインから獲得するために軍が各地のワインの生産を奨励して生産量がさらに増加。
1970年代・高度経済成長を追い風にワインの消費量が拡大。
・農産物貿易の自由化によって特恵国の濃縮マストの関税無税化、バルクワインの関税引き下げにより、ワインの原料に国産生ブドウ以外を原料とする動きが生まれた。
1973年・「ワイン元年」と称される。この3年前の大阪万博の影響もあり、ワイン消費が前年比162%に急上昇した。
1975年・ワインの消費量が、甘味果実酒の消費量を上回る。
1980年代・ヴィティス・ヴィニフェラ種の本格的な栽培の開始。
2000年以降・個人が自分で育てたブドウでワインを造る動きが生まれ、小規模ワイナリーの設立が活発化。
2010年・甲州種が「国際ブドウ・ブドウ酒機構(O.I.V.)」のリストに登録され、EUへ輸出する際に、品種名をボトルに記載できることになった。
2013年・マスカット・ベーリーAが「国際ブドウ・ブドウ酒機構(O.I.V.)」のリストに登録。
・国税庁がワイン産地「山梨」を初めての地理的表示(GI)として指定。
2015年・国税庁が「果実酒等の製法品質表示基準」を制定(適用は2018年から)。
2018年・「北海道」を2番目の地理的表示(GI)として指定。
【最終チェック!】「日本」の「SASAKI’sEYES」

・近年ワイナリー設立の動きが活発化している。現在のワイナリー数は303軒、そのうち日本ワインを製造中のワイナリー数は229軒とされており、山梨県、長野県、北海道の順に多いが(日本ワインの生産量順位と毎年ほぼ同じ)、近年、北海道と長野県でワイナリーが急増中でワイン造りが活発化し、産地が生まれようとしている。 ・日本ワイン生産量のうち、自社畑産のブドウで造られたワインは1割強、原料ブドウの最も多くを自営農園から受け入れているワイナリー(自営農園)は64軒に達している。100%自社管理畑のブドウでワインを造る「ドメーヌ型」ワイナリーも増加傾向にある。 ◆国内製造ワイン※:約8.7万kℓ(2017年) (うち日本ワイン:約1.8万kℓ(全体の20.2%、残り約8割は海外原料ワイン)) ・日本ワインの種類構成:白46.1%、赤42.7%、スパークリング3.9%、その他7.4% ・稼働ワイナリー数は山梨、長野、北海道、山形の順に多い。山梨県は既に頭打ちで、長野県と北海道は急速に数を増やしている。 ・酒税法による種類の分類をおさえる。 ・2018年の酒税法改正により、2026年までに3段階で酒税が変更になる。第1段階の変更が2020年10月にスタートしたばかり。 ●原料用ぶどう品種の生産数量と主要産地をおさえる 1甲州 山梨県(約95%) 2マスカット・ベーリーA 山梨県(約58%) 3ナイアガラ 長野県(約47%) 4コンコード 長野県(100%) 5デラウェア 山形県(約52%) 6シャルドネ 長野県(約30%) ●棚仕立ての剪定種類をおさえる ・温暖で高湿度という日本の気候条件のもと、主に生食用(アメリカ系)のブドウを育てることを目的に江戸時代から日本中で採用されてきた仕立て法。 ・甲州やマスカット・ベーリーAはこの仕立てで栽培されることが多かった。 ◆X字型剪定 ・棚仕立てで、長梢剪定したもの。日本の伝統的な仕立て法。「X」という文字を意識しながら仕立てていく方法。甲州の大半がこの方法を採用している。 ・枝の配置の自由度が高く、樹勢をコントロールしやすい。 ◆一文字型短梢剪定 ・棚仕立てで短梢に剪定したもの。水平方向に一直線に太い枝を配置する。国内で採用する栽培家が増加中で、欧州系品種のシャルドネやメルロにも採用されている。 ・新梢や房の管理作業が直線的になり、作業効率が高い。密植も可能。 ◆H字型短梢剪定 ・棚仕立てで短梢に剪定したもの。水平方向に左右に2列、Hの形に枝を配置する。 ・一文字型短梢剪定同様に管理作業がシンプルで、作業効率がよい。 ・九州で1990年以降に拓かれたブドウ園ではこの仕立てが採用されている。 ●代表的な東洋系品種2つ Koshu 甲州 Zenkoji 善光寺 ●代表的なアメリカ系品種3つ Delaware デラウェア Niagara ナイアガラ Cambell Early キャンベル・アーリー ●代表的な日本の交雑・交配品種 Red Millenniumレッド・ミルレンニューム Black Queen ブラック・クイーン Kai Noir 甲斐ノワール Kyoho 巨峰 Muscat Bailey Aマスカット・ベーリーA Shokoshi 小公子 Yamasachi 山幸 Yama Sauvignonヤマソービニオン Kai Blanc 甲斐ブラン Riesling Lion リースリング・リオン Shinano Riesling信濃リースリング Harmo Noir アルモ・ノワール Yamabudo ヤマブドウ
【次回講義】
次回は第16回「アメリカ」です。
→第14回「ルーマニア/モルドバ/ブルガリア/ギリシャ/ジョージア」をおさらいする
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