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「ルモンタージュ」「ピジャージュ」「バトナージュ」とは?作業の目的と効果について

ワインの醸造工程において「ルモンタージュ」「ピジャージュ」「バトナージュ」という撹拌作業があります。簡単に説明をすると「ルモンタージュ」「ピジャージュ」は赤ワインにおける工程。

それに対して「バトナージュ」は白ワインやロゼワインの醸造行程です。

方法として、「攪拌し成分を抽出するための作業」でありながら何が違うのかを解説します。

  
   目次
  「ルモンタージュ」「ピジャージュ」とは?
  ・「ルモンタージュ」と「ピジャージュ」はどっちがいい?
  ・バトナージュとは?
  ・まとめ

「ルモンタージュ」「ピジャージュ」とは?

赤ワインを造る時に果鞭や果皮、種子ごと一緒に漬け込みます。白ワインは圧搾し「果汁」のみ使用するため成分抽出という概念はなく、この2つは赤ワインのみのテクニックです。

発酵が始まると二酸化炭素とアルコールに分解され、その作用で果皮や果肉、種などがタンク上部に溜まるのが「果帽」。「果帽」を撹拌する作業が「ルモンタージュ」と「ピジャージュ」です。その違いを説明していきましょう。

・ルモンタージュ

ルモンタージュとは英語で「ポンピングオーバー」と言います。その名の通りに果帽の下のワイン液をポンプで下から抜き取り、上部に浮上している果房全体に駅がかかるように散布し戻し入れること。これにより「果帽」が下に沈み撹拌ができます。この作業により果皮・種子からフェノール類などの成分が抽出・果醪液への酸素を供給・糖分、酵母、温度を平均化する働きがあります。

・ピジャージュ

ピジャージュは英語では「パンチングダウン」。「果帽」を押し込んで撹拌させます。人が足で踏み入れる方法や、櫂とよばれる道具で押し入れる方法があります。

「ルモンタージュ」「ピジャージュ」は赤ワインの醸造行程

この二つは赤ワイン醸造時における作業。果皮を除いて醸造をする白ワインは「果帽」ができませんので撹拌の必要がないからです。

「ルモンタージュ」「ピジャージュ」の目的

どちらも赤ワイン発酵時に、液体と果帽を撹拌することが目的です。果帽ができることによってワイン自体が空気に触れません。発酵のスピードにムラが出るのを防ぐためです。

又、混ぜることで色素やタンニンの抽出が促される効果があります。

そしてもうひとつ、バクテリアやカビからワインを守ることです。混ぜないでいると空気にふれた部分からバクテリアやカビが発生することがあります。

「ルモンタージュ」と「ピジャージュ」はどっちがいい?

どちらも目的は同じ。ワインを造る量や味わいによって変わってきます。違いをみていきましょう。

ルモンタージュ

作業効率が良いので大型タンクにも向いた方法。成分の抽出は穏やかだと言われています。ボルドーではルモンタージュをする生産者が多いようです。多くの酸素を含み酵母が活発になる効果があります。

ピジャージュ

人工的に櫂入れや、人が直接足で踏み入れる方法があります。酸素量を調整できるので繊細なワイン造りができ、ブルゴーニュではこちらが多いようです。

浮き固まった果帽はかなり重く人工ではかなり重労働。又、炭酸ガスの発生で人体に危険も伴います。最近ではコンピューター制御の機械で櫂をいれる方法も出てきています。

最新「撹拌」事情

実は上記以外にも果帽とワインを混ぜる醸造方法があります。

デレスタージュ

こちらはルモンタージュと似ていますがより大胆に行います。発酵タンクより全てのワインを抜き取り、戻し入れる方法。英語では「ラックアンドリターン」とも呼ばれます。

戻し入れる前にタンニンの原因となる種子を除去できるので、舌触りのよいタンニンが抽出できます。

回転式発酵タンク

セメントミキサーのような醸造タンクが自動で回転します。かなり効率的な方法ですね。中に回転パドルがあるものと、メッシュ状のタンクが内側にあるものがあります。又、木樽を直接回転させる設備もあるようです。

炭酸ガス応用

発酵時に発生する炭酸ガスを使用する方法もあります。特殊な形状のタンクで発酵をして、炭酸ガスを集めそのエネルギーを使って撹拌します。

ガスを一か所に集めて一気に放出することで撹拌させます。あたらしいエネルギーの活用法としても注目されています。

バトナージュとは?

バトナージュは白ワインの行程。アルコール発酵後の白ワインは役目を終えた酵母が澱なり沈殿します。櫂や棒を使ってタンクや樽内にできる澱を撹拌します。

主に白ワインやロゼワインで行われる作業です。

「バトナージュ」の目的

澱のなかにはアミノ酸などの旨味成分や香味成分が含まれており、バトナージュをすることでワインに移ります。よりまろやかで香ばしいワインが出来上がります。

役目を終えた澱は自己分解をします。その際にアミノ酸などの旨味が生まれます。同時に酸素が減少する「還元」という現象もおこります。

ワインの「還元」は良くない風味が発生。それをふさぐためにもバトナージュをして酸素を含ませていきます。

ワインを混ぜる棒(バトン)からバトナージュと呼びます。

澱の成分を移すのは「シュール・リー」では?

ワインに詳しい方は澱の成分を移すのは「シュール・リー」では?と思いますね。シュール・リーとの違いはより積極に働きかけるのがバトナージュとなりよりふくよかなワインができます。

まとめ

赤ワインの醸造工程において「ルモンタージュ」「ピジャージュ」。白ワインの「バトナージュ」。どちらもワイン造りにおいては重要な役割をもっています。単に「攪拌する」という作業にはただ混ぜるだけではなく、3つの方法がある事をお判りいただけましたでしょうか?又、同じ目的で違う方法が色々とありますね。しっかりと理解するとワインの味わいについてより深く感じることができます。是非知っておいてほしい情報です!

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