ワインの醸造法による分類では、発泡性のワインの事を「スパークリングワイン」と呼び、一般的に3気圧以上のガス圧があるワインで、それ以下のガス圧のものは「微発泡性ワイン」と称しています。
では、「シャンパーニュ」とはスパークリングワインと呼ぶのでしょうか?
「スパークリングワインとシャンパーニュの違い」について説明します。
目次
1.スパークリングワインとシャンパーニュの違い
スパークリングワインとは?
シャンパーニュとは?
2.スパークリングワインの種類
・フランス
・スペイン
・イタリア
・ドイツ
1.スパークリングワインとシャンパーニュの違い
「スパークリングワインとシャンパーニュの違い」はご存知でしょうか?もしかすると、発泡性のワインは全てシャンパーニュのことと認識している方も多いかもしれませんね。
しかし、全てシャンパーニュという考えの認識には誤りがあります。こちらの記事では、スパークリングワインとシャンパーニュの違いを詳しく解説していきます。
スパークリングワインとは?
スパークリングワインは、発泡性ワイン全般を指す呼び名です。二酸化炭素による泡が特徴で、泡の量が少なくガス圧が低いものを弱発泡性ワイン、微発泡性ワインと呼ばれ、二酸化炭素の含有量が強いものを強発泡性ワインと呼びます。
一般的に非発泡性のワインは「スティルワイン」と呼び、発泡性があるワインのことを「スパークリングワイン」と呼びます。
スパークリングワインという名称はあくまでワインのカテゴリーの一つであり、国ごとによって名称が変わります。
シャンパーニュとは?
シャンパーニュは、カテゴリーとしてはスパークリングワインという位置づけです。シャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインのみ「シャンパーニュ」と名乗ることが出来ます。
発泡性のワインなら、何でもシャンパーニュとと思われがちですが、シャンパーニュは「シャンパーニュ製法」という造り方をしています。
シャンパーニュ製法とは、アルコール発酵をさせて出来たワインに酵母と糖を加えて瓶詰めして、さらにもう一度アルコール発酵を行う「瓶内二次発酵」という製法です。瓶内二次発酵を行うと、瓶内できめ細やかな泡がワインに溶け込み、味わいがクリーミーでエレガントになります。
様々な行程が必要になるシャンパーニュは、沢山の時間と労力が必要になるため経費が掛かり、ワインの価格がどうしても高くなってしまいます。しかし、シャンパーニュを味わうと、価格が高いのも頷けます。香り、味わいの全体的なバランスが非常に良く、品質の高さにおいて世界中のワイン愛好家を長年魅了しているのも分かるでしょう。
2.スパークリングワインの種類
スパークリングワインは国によって名称が変わり、様々な味わいや香りのワインが作られています。では、スパークリングワインはどのような種類があるのでしょうか?詳しく紹介していきます。
・フランス
スパークリングワインを語るのであれば、フランスは絶対に外すことはできないでしょう。フランスにはシャンパーニュ以外にもおいしいスパークリングがあります。
フランスにおいてシャンパーニュ以外で代表的なスパークリングは『クレマン』『ヴァンムスー』『ペティヤン』の3つです。
『クレマン』(Crémant)
フランスの「クレマン」は、シャンパーニュ地方以外で生産されるスパークリングワインの一種で、高品質でありながらシャンパーニュよりも手頃な価格で楽しめるのが特徴です。クレマンは、シャンパーニュと同じ「トラディショナル製法(Méthode Traditionnelle)」で造られており、瓶内二次発酵方式で行います。
フランスには、8つの「クレマン」と名乗ることのできる生産地域があります。それぞれの地域で異なる特徴を持つクレマンが作られています。
・クレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)
・クレマン・ダルザス(Crémant d’Alsace)
・クレマン・ド・ロワール(Crémant de Loire)
・クレマン・デュ・ジュラ(Crémant du Jura)
・クレマン・ド・ボルドー(Crémant de Bordeaux)
・クレマン・ド・リムー(Crémant de Limoux)
・クレマン・ド・ディー(Crémant de Die)
・クレマン・ド・サヴォワ(Crémant de Savoie)
クレマンの最大の特徴はコストパフォーマンスとワインのクオリティの高さにあります。シャンパーニュと同じく瓶内二次発酵が義務付けられているため、泡のきめ細やかさやエレガントな香り、複雑な味わいを兼ね備え、1000円台から楽しむことができる素晴らしいワインです。
また、有名な生産者が作る高価なクレマンは、クオリティの高さがずば抜けており高級シャンパーニュにも負けないほどに素晴らしいスパークリングワインです。
『ヴァン・ムスー』
フランスでは、シャンパーニュやクレマン以外のスパークリングワインのことを「ヴァン・ムスー」と呼びます。フランス語で「ヴァン」はワイン、「ムスー」は泡という意味です。
ヴァン・ムスーは、日常的に飲まれていることが多くシャンパ―ニュやクレマンよりも安価で購入することができます。クオリティに関しても決して低いわけではなく、グイグイと飲みやすいタイプが多いです。
『ペティヤン』
ペティヤンはスパークリングワインの中でも炭酸が控えめで、強い炭酸が苦手な人にもおすすめできる穏やかで優しい微発泡ワインです。
フランスのロワール地方を中心に生産され、価格も全体的にリーズナブルなものが多く気軽に購入しやすいワインです。
流通量は多くはありませんが、フランス各地で良質なものが造られていて料理にも合わせやすいと近年注目を浴びております。
・スペイン
『カヴァ』
スペインで造られているスパークリングワインといえば「カヴァ」です。スペインのワインを語るうえで絶対に外すことができないほどに有名で、年間で2億本以上が販売されている世界3大スパークリングワインの一つです。
カヴァの魅力は、何といってもシャンパーニュと同じく瓶内二次発酵方式で造られており品質はシャンパンにも劣らないほどに高く、価格もリーズナブルで1000円台でも高品質なスパークリングワインを楽しむことができます。
・イタリア
『プロセッコ』
イタリアで造られているスパークリングワインで人気が高いのが、ヴェネト州で造られているブドウ品種「グレーラ」を使用したプロセッコです。
プロセッコには、
「プロセッコ D.O.C.」
「コネリアーノ・ヴァルドッビアデーネ・プロセッコ・スペリオーレ D.O.C.G.」
「コッリ・アゾラーニ・プロセッコ D.O.C.G.」
の3種類があります。
プロセッコは「密閉式タンク方式(シャルマ方式)」という製法で造られており、ブドウ本来の味わいが十分に引き出されていて、フレッシュな香りが楽しめみながら飲めるスパークリングです。
プロセッコの販売数量はシャンパーニュを上回り、価格もお手頃ということもあり気軽に飲むことができるスパークリングワインとして非常に人気が高いです。
イタリアでは発泡性ワインのことをスプマンテと呼びます。スプマンテは、プロセッコ以外にも「アスティ」「フランチャコルタ」「ランブルスコ」「オルトレポー・パヴェ―ゼ」といった種類があります。
スプマンテは世界中のワイン通から愛されていて、リーズナブルな価格で気軽に飲めて、色々な料理にも合わせやすい、良いとこだらけのワインです。
・ドイツ
『ゼクト』
ドイツのスパークリングワインは、ゼクトと呼ばれています。あまり耳にする機会が少ないかもしれませんが、ゼクトはシャンパンと同じ瓶内二次発酵方式で造られていてドイツ国内では絶大な人気を誇るワインです。
シャンパーニュにも負けないほどのきめ細やかな泡、味わいです。ドイツワインといえば甘口と思われている方が多いのですが、ゼクトは辛口が基本です。気になる価格帯は非常に幅広く、数百円~数千円と高価なものまで販売されています。
高品質なものはシャンパーニュにも劣らないほどに美味しいですが、安くても美味しく飲めるのがゼクトの魅力の一つです。
「シャンパーニュ」というと高級なイメージがありますが、様々な国で造られている「スパークリングワイン」は高品質でお手頃な価格のものもあります。
パーティーなどの乾杯はもちろん、普段のお食事とともに気軽に楽しんではいかがでしょうか?