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覚えておきたい!ワインラベルについてのお話

ラベルにはワインの特徴が詰まっています。ワインショップなどで自分に合ったワインを探す手掛かりとして、ラベルからヒントを得ることができます。しかし、どのようにラベルから特徴がわかるのでしょうか。
今回は、そのワイン輸入量の多いフランス(ブルゴーニュ/ボルドー)、イタリア、チリのワインを例にラベルの読み方を解説します。また、ワインラベルを記録として取っておくのもお勧めですので、ワインラベルの簡単なはがし剥がし方もご紹介していきます。
  <目次>
    ワインのラベルにはどのようなことが書かれている?
      ワインラベルの内容
    ワインで有名な3ヵ国のラベルの読み方~フランス・イタリア・チリ~
      フランスのワインラベルの読み方
       イタリアのワインラベルの方
      イタリアワインの格付け
      チリのワインラベルの読み方
    ワインのラベルはなぜエチケットと呼ばれるの?
      「ラベル」?「エチケット」?
      エチケットの由来

      最後に裏テク、ワインラベルのきれいなはがし方
      ワインラベルの剥がし方3選
    知っておきたいワインラベルのお話

ワインのラベルにはどのようなことが書かれている?

ワインラベルには、そのワインに関する情報が表記されています。
ラベルには生産された地区やブドウの品種などが細かくラベルに書かれているため、ラベルを読むだけでそのワインのある程度のことがわかります。
ワインラベルを読めるようになると、ワイン選びももっと楽しくなるでしょう。

ワインラベルの内容

国やワインの銘柄によってワインラベルの内容は変わりますが、以下のような内容が書かれています。
・ワインの名称
・ブドウの収穫年(ヴィンテージ)
・生産者の名前
・地区名
・生産国
・容量
・アルコール度数
・原産地統制呼称(フランス)または統制保証原産地呼称(イタリア)など

ラベルからわかるワインの銘柄や品質、特徴から、自分の好きなタイプのワインが見つけられるようになりますよ。

ワインで有名な3ヵ国のラベルの読み方~フランス・イタリア・チリ~

慣れるまでは、ワインラベルを一目見ただけで簡単に読むことはできません。
ましてや違う言語で書かれた海外のワインラベルを読むのはもっと難しいもの。

フランス・イタリア・チリ、ワインで有名なこの3ヵ国のラベルの読み方をご紹介していきます。それぞれのワインラベルの読み方を身に付けていきましょう。

フランスのワインラベルの読み方

フランスワインのラベルには、基本的に以下のようなことが書かれています。

・ワインの名称
・ブドウの収穫年
・アルコール度数
・生産者の名前
・地区名
・生産国
・原産地統制呼称(A.O.C/Appellation d’Origine Contrôlée)

【原産地統制呼称(A.O.C)】
原産地統制呼称(A.O.C)は1935年に制定されたフランスの法律で、ワインを含む農産物や酪農品などの品質を国が保障するというもの。偽物の出回りを防ぎ、品質を保つためにつくられました。原産地統制呼称(A.O.C)がラベルに書かれているワインは、有名産地の高品質なワインだといえるでしょう。

ワインが原産地統制名称(A.O.C)に認められる条件としては、ブドウ栽培範囲、認定品種、最大収量、最低アルコール度数、剪定法や醸造法など、その基底に従ってブドウを栽培、醸造しなければなりません。

これらの一定の条件をクリアしたワインには、「Appellation Contrôlée」とラベルに書かれています。AppellationとContrôléeの間に生産地区名が入る場合もあります。
生産地区名には、地区名の他に村名や、一級畑“プルミエ・クリュ”や特級畑“グラン・クリュ”の名称も含まれます。
地区名 → 村名 → 一級畑“プルミエ・クリュ” → 特級畑“グラン・クリュ”
のように、地区名から畑名に近づいて規模が小さくなるほど希少性が高くなっていきます。しかし“グラン・クリュ”だからといって高級とは一概には言えません。「ブルゴーニュ」や「ボルドー」「シャンパーニュ」「アルザス」の地方ごとの特級畑などの割合によって、その価値は変わっていきます。

イタリアのワインラベルの読み方

イタリアのワインラベルには、基本的にこのようなことが書かれています。

・ワインの名称
・ブドウの収穫年
・アルコール度数
・生産者の名前
・容量
・地区名
・生産国
・統制保証原産地呼称(D.O.C.Gなど)

【統制保証原産地呼称】
統制保証原産地呼称はイタリアの制度で、ワインの格付けに使われています。
ワイン産地を守るために制定されて、生産地やブドウの品種、ブドウの収穫量やアルコール度数、熟成期間と条件があります。
格付けが高い順に、このようになっています。
・D.O.C.G
・D.O.C
・I.G.T
・Vdt
現在ではEUで統一されたワイン法があるため、D.O.C.GとD.O.Cが統合されてD.O.Pと表記されているワインもあります。また、I.G.TはI.G.Pに、VdtはVinoに表記が変わりました。
しかし現在でもイタリアワイン法も適用されており、D.O.C.G・D.O.C・I.G.T・Vdtの表記が認められております。ここではそれら4つの格付けをご紹介します。

イタリアワインの格付け

1963年にイタリアで4段階の原産地呼称法が制定されましたが、2008年のEU新ワイン規則に合わせて改正した新しいイタリアワイン法が2010年から施行され、それに合わせて3段階の格付けとなりました。

旧ワイン法 2008年ヴィンテージまで
▽統制保証原産地呼称ワイン(D.O.C.G)
4つの格付けの中で一番厳しい基準をクリアしなければいけないカテゴリーがD.O.C.Gです。そもそもD.O.C.Gに昇格するためにはまず、D.O.Cの産地として10年以上経たなければ認められません。クリアすれば、ワインに認証のシールが貼付されます。また、国内での審査や検査に加えて、国外に出荷される際にも再度審査や検査を重ねています。
▽統制原産地呼称ワイン(D.O.C)
栽培から出荷までのすべての過程で、基準をクリアしなければいけません。びんに詰められる前に、条件の審査や検査が行われます。
地域特性表示(I.G.T)
地理(産地)表示を伴い、「ワインの85%以上がその土地で造られたもの」と定義されています。
テーブルワイン(Vdt)
特別な規定がなく、ラベルにもブドウの品種や生産地区の表示は必要とされていません。格付けの中で一番下に位置し、基準もほとんどない…ってことはクオリティが低いの?と思う方も少なくないでしょう。
D.O.CやD.O.C.Gに認められるには、基本的に自ら申請します。そのため、格付けの評価に縛られないことを掲げてあえてVinoに位置するワインも多く存在しています。

新ワイン法2009年ヴィンテージから
▼保護原産地呼称ワイン(D.O.P)
従来のD.O.C.GとD.O.Cに代わるもの。
保護地理表示ワイン(I.G.P)
従来のI.G.Tに代わるもの
地理的表示なしワイン(Vino)
Vdtに代わるもの。

ちなみにイタリアの新酒、「ヴィーノ・ノヴェッロ」は保護原産地呼称ワイン(D.O.P)保護地理表示ワイン(I.G.P)にのみ認められています。

チリのワインラベルの読み方

チリワインには、基本的に以下のようなことが書かれています。

・ワインの種類
・製造者(瓶詰者)名と所在地
・ワインの容量
・アルコール度数
・アルコール含有量
・原産国がチリであること
・ワインの原産地呼称(D.O.)
・ブドウ品種名
・ワインの収穫年
・残糖量に応じたワインのタイプを表示

チリのワイン法には格付けはありませんが、1994年に原産地呼称(D.O.)とワインの品質が規定されています。そのため農業省農牧庁(SAG)は定められた原産地呼称、品質規定などを保護・監督し、輸出ワインの品質保証・統制を担当しています。

しかし、チリワインの特徴として、レゼルバ(Reserva)というものがあります。レゼルバとは、オーク樽で熟成を重ねたワインのこと。ブドウの品種が一種のものも、複数の品種を合わせたものも存在します。
さらに品質が上がり、高級ワインと呼ばれるワインでは、ラベルに「Reserva Especial」「Gran Reserva」と書かれます。
しかし、レゼルバの表記は義務ではないので、“ラベルにはレゼルバと書いていないけれどオーク樽で熟成させた”というワインも一部あります。

ワインのラベルはなぜエチケットと呼ばれるの?

ワインラベルは、なぜエチケットと呼ばれているのでしょうか?
ラベルとエチケットの違いと、エチケットと呼ばれることになった理由をご紹介していきます。

「ラベル」?「エチケット」?

ワインラベルは一般的に「ラベル」という呼び方をされていますが、「エチケット」とも呼ばれます。
ラベル(label)は英語、エチケット(étiquette)はフランス語という言語の違いで、二つの意味に違いはありません。

エチケットの由来

元々フランスでのエチケットの意味は、「貼り紙」や「荷札」という意味でした。中身が何かを示す「荷札」ということから、ワインラベルもエチケットと呼ばれています。
                                   
日本ではエチケットといえば、作法などのイメージがありますよね。
一説によると、過去のフランスの慣習で、「貼り紙」が由来とされています。
その昔フランスでは、宮廷に訪れる人に対して、作法を記した紙を貼り出していました。この紙がエチケットと呼ばれており、作法を記した紙のみならず作法そのものをエチケットと呼ばれたというものです。

最後に裏テク、ワインラベルのきれいな剥がし方

ワイン好きなら、飲んだワインのラベルをとっておきたいこともありますよね。とくに特別なワインや高級なワインはコレクションとして保管したいもの。
そんな方のために、ワインラベルの剥がし方をご紹介します。

ワインラベルの剥がし方3選

ワインラベルは基本的に、温めることではがしやすくなります。
※火傷にはご注意ください。
そのため、これらの方法を試してみるのがおすすめです。
・お湯につけて温めてはがす
・ドライヤーで温めてはがす
・市販の専用シートではがす

【お湯につけて温めてはがす】

40~50℃のお湯をボウルなどに入れて、そこにボトルを浸けます。
しばらく浸けておくと自然とはがれてくるラベルもありますが、ボトルの中にもお湯を入れて中から温めるとよりはがれやすくなりますよ。
お湯につけた状態のままはがしていきましょう。

【ドライヤーで温めてはがす】

ドライヤーの熱で接着剤を溶かすのも、選択肢の一つです。
ラベルの素材によっては綺麗な状態のままはがれない場合もありますが、アイロンの熱を使う手もあります。

【市販の専用シートではがす】

ワインラベルをはがすための、専用シートも存在します。
他の方法ではがれないときや、手っ取り早くラベルをはがしたいときにはワインラベル専用のシートが安心です。コレクションもしやすくなりますよ。

こちらのシートをラベルに貼ってた後にはがすだけ。ワインの味や特徴を書き込み、綺麗に保存できます。コレクションできるアルバムがついているものもありますよ。

知っておきたいワインラベルのお話

ワインラベルには、ワインについての情報がたっぷり詰まっています。
ラベルを読み解くことで、そのワインのことを深く知ることができます。
ボトルを見るだけでワインの情報が得られることで、ラベルを読むのが楽しみの一つになったり、自分の好きなワインがわかったり…と、今よりもワインがより近いものになるでしょう。ラベルをとっておいて、自分の飲んだワインの記録や思い出としてコレクションするのも良いですね。
ワインラベルの読み方と各地の特色を押さえて、ワイン選びを楽しみましょう。

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