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ワインのデキャンタって何?その悩みを全て解決します!

ワインのデキャンタとは、ワインをボトルから移し替えるために使われる容器の事を称しますが、用途により様々な形があります。そのデキャンタについて詳しく解説いたします。


  目次
  1. 「デキャンタ」とは

    デキャンタの効果
    デキャンタの大きさの選び方
    デキャンタの形の選び方
    デキャンタと似ている「カラフェ」とは?
    
  2. 「デキャンタージュ」とは

    デキャンタージュが効果的なケース
    デキャンタージュの必要がないケース
    デキャンタージュの方法
 

1. 「デキャンタ」とは


ワインを嗜む際に欠かせないデキャンタ。そもそもデキャンタの意味とは何なのか、また何のためにデキャンタを使うのか、解説していきます。

デキャンタとは

「デキャンタ」とは、卓上用のガラス製の酒瓶のこと。ボトルに入っているワインを直接グラスに注いで飲むのではなく、一度デキャンタに注いでからグラスに移し替えるために使用されます。一般的に使われるデキャンタは無色透明のガラス瓶タイプがほとんどです。ワインをデキャンタに注ぐことを指す「デキャンタージュ」については、後述します。

デキャンタの効果

どうしてボトルに入ったワインを直接グラスに注がず、デキャンタに移すのでしょうか。その第一の理由は、ワインをデキャンタに移すことで、年代物のワインによく見られる「澱(オリ)」を取り除くために行います。オリとは、所謂ワインにできる沈殿物のことを指し、体に害はないものの苦味や雑味といったものが感じられてしまいます。このオリをワインから取り除くために、デキャンタが使われます。デキャンタをはさむことにより、より味わい深くワインを楽しめます。
その他、若いワインの尖った部分を和らげる役割を果たす効果もあります。

デキャンタの大きさの選び方

デキャンタの大きさは約250cc~2000ccと、幅広いサイズがあります。一般的に売られているワインボトルの容量は750ml、ハーフボトルは375ml、マグナムボトルで1500mlですが、標準のサイズでは750ml~1000mlのものが一般的です。大きいものとなると見た目で特別な場で使われています。選んだボトルのワインが全て入る量であることと、人数に適したものであることを基準にデキャンタを選びましょう。

デキャンタの形の選び方

ヴィンテージワインのデキャンタージュを目的とした場合には、注ぎ口が細いものをお勧めします。底に溜まった滓を残しながら、それ以上熟成させないために極力空気と触れさせないよう、注ぎ口の狭いデキャンタの形に効果があります。

ヴィンテージワインとは逆に、空気に触れされることで口当たりをマイルドにする目的としている場合も会います。それは、若いワインや安価なワインのです。
デキャンタージュが目的の場合は注ぎ口が広く、底の広いデキャンタの形状が適しています。
この形状は空気と触れ合う接面が多いことで熟成を促します。ヴィンテージワインとは逆に、底の広いデキャンタはデキャンタ内でスワリングをすることにも、早く酸化を進めるために行う作業です。
デキャンタやグラスの中のワインを軽く回すことによって酸素を含ませることがスワリングの目的です。

デキャンタと似ている「カラフェ」とは?

「デキャンタ」と混同されやすい「カラフェ」。カラフェもデキャンタと同じく、ボトルワインをグラスに直接注がず、カラフェに注いでからグラスに注ぐために使用されます。また、カラフェはフランス語で水差しという意味があります。そのため、ボトルワインを半量で提供する場合やテーブル演出の一環としても使用されます。日本では、カラフェを含めて広義のデキャンタと表現するケースもあります。カラフェがデキャンタと明確な違いは、オリを取り除くことには使用しないという点です。

カラフェの効果

デキャンタにワインのオリを取り除くという役割があるのに対して、カラフェの役割はワインを空気に触れさせて、酸化を進ませる点です。酸化を進ませることによって、味わいや香りを変化させる効果が期待できます。比較的若いワインに使用するのが向いていると言えます。

2. 「デキャンタージュ」とは


レストランなどでワインを飲む際に、「デキャンタージュ」を勧められることもあります。デキャンタージュとは、先述のデキャンタにボトルのワインを注ぐことを指します。ここからは、デキャンタージュが効果的なケースと、デキャンタージュが必要でないケースに加えて、それぞれのケースのワインを併せてご紹介します。デキャンタージュの方法についても解説していきますので、デキャンタがあればすぐに実践することができます。

デキャンタージュが効果的なケース

デキャンタージュが効果的なケースは、二つあります。
一つはオリがあるワインの場合。熟成している間に酵母が変化し沈んだものであったり、ポリフェノールなどの色素成分がボトルの底に溜まったりしたものがオリと呼ばれます。
先述の通り、苦味や酸味を強く感じます。特に熟成期間の長い年代物のワインでタンニン分の多いブドウ品種から造られる赤ワインに多く見られます。赤ワインよりは多くありませんが、白ワインでもブルゴーニュなどではオリが見られることもあります。これは酒石酸とカリウムなどのミネラル成分が合わさったものです。
オリが残ったままのボトルからワインを直接注ぐ場合、注ぐたびにオリが上下に動きます。この上下の動きによってオリが舞ってしまうことを防ぐために、デキャンタージュは有効です。
もう一つは、所謂「閉じている」ワインの場合。これは熟成期間が短く、若いワインに多く見られます。
一般的にワインは熟成期間を置くことで苦味や渋み、酸味がマイルドに変化しますが、若いワインは比較的強く感じられます。このように苦味や渋み、酸味が強く、香りの広がりが少ないものが「閉じている」ワインと呼ばれるのです。しかし、デキャンタにワインを注ぐ過程で酸素に触れさせることで、渋みなどをマイルドに仕上げることができます。そのため、若いワインや安価なワインにもデキャンタージュは有効です。

デキャンタージュの必要がないケース

デキャンタージュの効果があまり得られないケースもあります。
デキャンタージュが効果的なケースの逆を考えると、オリが気にならないワイン、閉じているワインでも、時間をかけてゆっくり嗜みたい場合などが挙げられます。
ワインの種類でデキャンタージュの必要性を考えるのであれば、スパークリングワインはデキャンタージュの必要がないと言えます。スパークリングワインの場合はデキャンタを挟むことで、繊細な味わいが損なわれてしまいます。スパークリングワイン特有の繊細な泡立ちを保ったまま味わうには、グラスに直接注いで飲むことが適しているでしょう。
また、白ワインでもデキャンタージュが必要でないケースは多くあります。デキャンタージュが有効なのは熟成期間の長いボルドーなどがあげられましたが、それ以外の白ワインではあまり効果が期待できないかもしれません。白ワインのほどよい酸味がデキャンタージュによって強くなってしまったり、白ワインに適した低い温度を保ちながら飲んだりすることも難しくなってしまいます。白ワインの場合は、デキャンタージュが必要か否かを見極める必要があります。

デキャンタージュの方法

レストランなどでプロが使うデキャンタージュを自宅でやるのは、ハードルが高く感じてしまうかもしれません。しかしデキャンタージュで準備するものは少なく、意外とデキャンタージュ自体は簡単にできてしまいます。コツをつかめば、より幅広くワインの味わいを楽しめるでしょう。

・オリのあるワインのデキャンタージュの方法

用意するもの:ワインボトル、デキャンタ、布巾、ライト
1:抜栓したボトルの口を布巾で拭います。
2:ライトはボトルのネック部分に光が当たるように位置を調整します。ライトを当てることでオリを把握しやすくなります。
3:利き手はボトルの底を持ち、反対側の手でデキャンタのネックを持ちます。
4:ボトルを緩やかに傾け、ワインをゆっくりと注ぎます。その際にデキャンタもボトルの方に傾けます。ボトルの傾きは緩やかに、オリが入らないようにデキャンタの内側に沿って静かにワインを注いでいくのがポイントです。
5:ワインのほとんどを注いだら、ライトに照らされるオリに注意しましょう。オリをデキャンタに入れないことが重要です。ネックのあたりにオリが来て、ワインを注ぐことでオリが入ってしまいそうになったらボトルを離しましょう。

・閉じているワインのデキャンタージュの方法

1:抜栓したボトルの口を布巾で拭います。
2:利き手にワインを持って、反対側の手でデキャンタを持ちます。
3:ボトルを傾け、ワインを注ぎます。オリがある場合とは逆に、ある程度角度をつけて注ぎましょう。そうすることでデキャンタのネックの内側に当たったワインが広がりながら、より酸素を多く含みながら底に注がれていきます。

ワインをより幅広く楽しむために欠かせないデキャンタ。機能性やデザイン性に加えて、実際のサイズ感などを店舗で見てみて決めるのも良いでしょう。

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