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クロージャー(ワイン栓)にはそれぞれの役割がある!

ワインの栓にはいろいろな種類がありますが一番使用されているのはコルク栓。これに代わる天然素材は今の所なさそうですが、使用頻度は減ってきています。新しいボトル栓としてはスクリューキャップなどがあります。やはりコルクが良いのか?それとも新しい方法か?
その種類とワインに与える影響について探っていきましょう。


  目次
  ・3種類のコルク栓とスクリューキャップ

  ・コルクを語るのに欠かせないブショネについて
  ・ブショネがほぼないDIAM(ディアム)コルク

  ・高級ワインでもスクリューキャップを使用する理由
  ・まとめ

3種類のコルク栓とスクリューキャップ

代表的なワインクロージャーの大きな特徴と利点・欠点・役割を把握していきましょう。

①天然コルク

コルク樫の樹皮を厚く剥がして、円筒状にくり抜いたものです。伐採はしませんが、再び採取できるには約10年かかります。ポルトガルとスペインが最大の供給国ですが、近年ではコルクの成形に適した樹齢のコルク樫が減ってきていることもあり高価になります。

  • ワインに適度な酸素を供給し、熟成を促進することができる
  • 天然素材のため品質が安定しない
  • 劣化するとコルク臭が発生することがある
  • 昔ながらのワイン栓として格調を重視するワインに使われている

②圧搾コルク

天然コルクを細かく砕いたものを、合成樹脂などを使って成形したコルク。
成形前に天然コルクの細粒を処理することで、コルク臭の発生率は極めて低く抑えることが出来ます。天然コルクで使用した残りを利用出来るので、比較的安価での生産が可能です。

③合成コルク(プラスチックコルク)

プラスチック素材などの合成樹脂のみで成形したコルク型のクロージャーで、樹脂製コルクとも呼ばれます。発泡性の素材を使い、一定の酸素透過性を持たせたものもあります。デイリーワインや短期保存用のワインに使用されています。

  • コルク臭のリスクがない
  • 安価で安定した品質を維持
  • 天然コルクのような長期熟成には適さない
  • プラスチックの環境問題が懸念される

④スクリューキャップ

ペットボトルのキャップのように手で回して開けられる金属製の栓です。熟成には向かないとされていましたが近年では酸素透過率がコントロールできる熟成タイプにも使われています。

  • 開閉が簡単。
  • 酸素を完全に遮断し、熟成はしないが新鮮さを保つ。コルク臭の心配がない
  • 消費者のイメージとして安価なワインの栓というイメージがある
  • ニュージーランドワインは99%がスクリューキャップのワイン栓を使用している

⑤その他クロージャーもある

上記のワイン栓は代表的な種類です。他にもクロージャーはあります。

ガラス栓:その名の通りガラス製の栓です。ガラス製ストッパー2004年ごろから販売されている「VINO-LOK」が有名です。高級感があり、再利用可能でコルク臭も発生しません。欠点はコストが高く、長期熟成には向かない場合があります。

ZORK:コルク栓でもなく、スクリューキャップでもないプラスチック製で手で開閉できる新しいタイプのクロージャー。スパークリングワイン用の栓です。2002年にオーストラリアのZORK社が開発しました。

コルクを語るのに欠かせないブショネについて

コルクが原因でワインに不快な香りが生じる事を「ブショネ」といいます。

フランスでコルクを意味する「ブション(bouchon)」といい、その形容詞形がブショネ。主に天然コルクで発生しやすい現象です。

ブショネの原因

天然コルクには多数の微生物が殺菌に使われる塩素を代謝させます。そこでTCA(トリクロロアニゾール)という原因物質を生み出すのが原因。又、コルク樫自体にもTCAが含まれていることもあります。

ワイン風味が著しく損なわれる香りを発生させて「湿ったダンボール」や「カビ」のような匂いがすると言われています。

このTCAは微量でも多くの人が感じることが出来る物質。又、同時に他の香りや果実味などを減退させる作用もある非常にやっかいな物質です。

現代の技術では100%ブショネを無くすことは不可能とされています。

又、醸造施設が原因物質に汚染されてブショネが起こることもあります。コルク由来であれば1本で済みますが、生産ロットごと汚染されるので大問題です。

ブショネの発生確率

近年ではブショネにあたる確率は2〜3%と言われています。

多くのワインが天然素材のコルク使用を使用している以上ブショネに当たるのは起こりうる事故と考えるのがいいと思います。

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ワイン愛好家を悩ませる コルク臭「ブショネ」

ブショネがほぼないDIAM(ディアム)コルク

原因物質をほぼ除去したコルクがあります。それがDIAM(コルク)です。

これは圧搾コルクの仲間で、原料のコルクに特殊な二酸化炭素を用いて原因物質を除去するというものです。

DIAMコルクの有用性

2013年に。Full Circle Wine Solutions(サンフランシスコを拠点に、世界的にワイン・スピリッツの教育活動を行う会社)とマスターソムリエであるEvan Goldstein氏が中心となって企画された行われたワイン栓のちがいによる比較評価では熟成も期待できると高い評価を得ました。

高級ワインにおいてはコルクを使用するのがいいと考える生産者が多くその中ではDIAMコルクはイメージ的にも熟成という観点からも注目されているコルクです。

DIAMコルクの種類

DIAMコルクをよく見てみると小さく数字が書いてあります。これはコルクの耐用年数です。

1,3、5、10、30とありコルクの密度の違いで耐用年数が変わります。

高級ワインでもスクリューキャップを使用する理由

スクリューキャップは低価格帯のワインのイメージがありました。

しかし近年では、ブルゴーニュのジョセフ・ドルーアンやフランス・ボルドー地方を代表する著名なワインメーカー「ドゥルト」などの名門がスクリューキャップを使用しています。
フランスの名門も使用するスクリューキャップとはどのような利点があるのでしょうか?

ブショネのリスクが少ない

コルクが主な原因のブショネ。スクリューキャップは金属製の為、大切なワインをブショネのリスクから守ってくれます。

長期熟成が可能

以前は酸素浸透率が安定していなかったようですが、最近ではコントロールが可能です。好みの酸素浸透率が選べる様になりました。

消費者が扱いやすい

ワイン消費者が幅広くなったことでより扱いやすさが求められるようになりました。

開栓や閉栓が容易、ボトルが立てて保管ができるなど消費者のメリットが多くあります。ヨーロッパでも扱いやすいスクリューキャップが普及しているのは自然な流れでしょう。

まとめ

ワインのクロージャーには色々な種類があります。コルクを使用する以上、ブショネは起こりうる問題です。しかし様々な技術進歩により確率は格段に下がってきています。

どんなワインを造るかによってふさわしいクロージャーを選ぶ。これもワイン造りの課題のひとつです。ワイン栓にも注目して飲むのもまた面白い飲み方ですね。

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