講座参加レポート

【ワインスクール講座】「ブラインドティスティングの世界Vol.1」に参加してみた

2020年11月20日に行われた佐々木健太氏による「ブラインドティスティングの世界vol.1」にソムリエである筆者が受講生として参加。ティスティングの奥深い世界にせまりました。

講義内容と当日のワイン
佐々木氏によるブラインドティスティング解説
参加者によるQ&A
参加者としての所感

講義内容と当日のワイン

講義の前々日に、ワインがクール便で届きました。ダンボールにしっかりと固定されて、100mlの容器が6本。ボトルは煮沸消毒をして、受講日の直前に瓶詰めし、窒素を入れているとのこと。限りなく新鮮な状態で自宅に届くのが嬉しいです。

開始時間の19:00ピッタリに、佐々木健太氏による「ブラインドティスティングの世界Vol.1」がスタート。そして開始早々にいきなりティスティング試験がはじまりました。20分の制限時間で20問の問題を解いていきます。なかなかこれが難しかった…。

「生産地は?」「ぶどう品種は?」といった定番の質問から「生産地は海か山か」「アルコール度数は何%か」「このワインの市場価格はいくらか」といった質問もあり、頭をフル回転させて回答しました。

何名か途中から参入された生徒さんが、「後少し時間をください!」とチャットに書き込んだら「じゃあ5分延長しましょう!」と柔軟な対応。これも生ライブならではの良さです。

平均点は20点満点中7,8点。最高得点は15点とのこと。すばらしい…!!

ちなみにわたしは11点でした。定期的にこういう勉強をしないと腕が(舌が?)落ちてしまいますね…。各問題の正答率や他の参加者の得点が見れるのも刺激があって面白いです。

20問のテストが終わった後は、待ちに待った佐々木氏による解説が始まります。

ワインのラインナップ

今回の講座に出てきたラインナップはこちらの6種類。白3本と赤3本です。

1.Assyrtiko Mylonas Winery 2019 PGI Attica Greece

生産国:ギリシャ
ぶどう品種:アシルティコ

2.Albariño Flor de Verano Bodegas tomada de castro2019

生産国:スペイン
ぶどう品種:アルバリーニョ

3.Silvaner Sommeracher Katzenkopf 2017 Franken/Germany

生産国:ドイツ
ぶどう品種:ジルヴァーナー

4.Pinot Noir Stratum Sherwood Estate 2019 Waipara Valley/NZ

生産国:ニュージーランド
ぶどう品種:ピノ・ノワール

5.Chinon Silènes Charles Joguet 2015

生産国:フランス
ぶどう品種:カベルネ・フラン

6.Merlot100% Chateau l’Ermitage de la Garenne 2015

生産国:フランス
ぶどう品種:メルロー

ギリシャのアシルティコ…恥ずかしながらはじめて飲みました。また、ドイツのジルヴァーナーも「まさかこれが…!!」という驚き。
ニュージーランドのピノ・ノワールやフランスのメルロー、カベルネ・フランといった定番にふれつつも面白いぶどう品種もあり、バランスの良いチョイスです。

佐々木氏によるブラインドティスティング解説

テストの総評の後、佐々木氏の解説がはじまります。ここでは当日とったメモを共有します。

1.Assyrtiko Mylonas Winery 2019 PGI Attica Greece

・生産地が「海側」か「山側」かを見極めよう。
→潮風のようなミネラルか、鉱物的なミネラルか。
・ギリシャのアシルティコはアルコール度数が高いのに酸味がしっかりある。
→通常は酸味が強いとアルコールも高く感じない。度数が高いと酸はまろやかなはず…
・淡いグリーンがかった麦わら色をしている。
→「麦わら色」という表現が最近ではよく使われている。
・「牡蠣とシャブリ」のペアリングは古い。
→ギリシャのアシルティコと牡蠣の相性が抜群に良い!!

2.Albariño Flor de Verano Bodegas tomada de castro2019

・食塩水のような海のミネラルを感じられるかどうか。
・マウスウォータリングという表現。
→最近のコメントのトレンド。酸味があって自然と唾液がでてくるイメージ。
・アルバリーニョ独特のセミアロマティック
・フェノリックな苦味
→フェノリックは植物由来の~という意味の「フェノール」から。この「フェノリック」も表現の一つとして近年よく使われている。
→日射量の多い地域だと、紫外線から果実を守るために果皮が厚くなるので苦味が出てくる。
・苦味とのペアリングは「青魚」
→青魚のキモの苦味と潮風のニュアンスをあわせるペアリング

3.Silvaner Sommeracher Katzenkopf 2017 Franken/Germany

・山のワインを感じ取れたか
→鉱物的なミネラル感
・酸味で油を流して口中をスッキリとさせてくれる
→食欲が増す作用あり。シャルキュトリーやピクルスと合わせたい。


4.Pinot Noir Stratum Sherwood Estate 2019 Waipara Valley/NZ

・「ガメイ」か「ピノ・ノワール」で迷った方が多い
→11/19はボジョレー解禁日だからガメイ?と思わせつつ「裏の裏をかくのが好きだ」と佐々木氏。おちゃめです。
・マウスウォータリングな酸味
→ボイズンベリーやマルベリーといった「青果実」のニュアンスを感じ取れるか。
・フレンチオーク樽4ヶ月
→短いのであんまり樽感を感じない。エレガント系の仕上がり。
・キングサーモンのグリルやキンメダイの煮付け、鴨のロティなど。
→鴨は脂と肉が離れているから、肉自体と合わせるのにそこまでタンニンを必要としていないので、ピノ・ノワールとの相性がいい。

5.Chinon Silènes Charles Joguet 2015

・BBQしたい!と思うワイン
・酸味がワインに活力を与えている。
・ステンレスタンクで樽なし。
・ピーマンっぽさはそこまで感じない
→いいワインの証。チンジャオロースとのペアリング


6.Merlot100% Chateau l’Ermitage de la Garenne 2015

・ボルドーワインはフルボディなのか?
→ただ重口なだけでなく、謙虚な佇まいがある
・右岸メルローのアルコール度数は14~15%
・左岸カベルネのアルコール度数は13~13.5%

参加者によるQ&A


Q海、山のミネラルの違いの見極め方は???

「潮風」や「海水」のような海っぽいミネラル感→アルバリーニョ
「石をなめたような」「ぬれた石、火打ち石、ガンパウダー(火薬)」のような山っぽいミネラル感→グリューナー・フェルトリーナー
鼻から入るのがアロマ、鼻から抜けるのがフレーバー。

Q新世界と旧世界の見分け方は?

ミネラル感を強く感じる、香りが何層にもなってやってくるのが旧世界
一方で果実の成熟度を感じるのが新世界

Q「鉱物的なミネラル」ってコントレックスみたいな感じ?

コントレックス自体に香りは感じない。火打ち石と表現できるのが、「真夏のアスファルトに打ち水をしたときに立ち上ってくるにおい」とも言える。

Qカベルネ・フランの特徴は?

ずばりピラジン。青いピーマンのニュアンスをとれるかどうか。あとはカベルネ・フラン独特の酸味。
赤ワインで酸味が強いのはピノ・ノワール以外はあまりないので、酸味とピラジンのニュアンスが決め手になる。
また、アロマの順番は「果実→花→ハーブ→木の根」と、植物の成長の「逆」をベースにしてコメントをする。
※本来の成長の順番は「木の根→ハーブ(枝)→花→果実」なので。

参加者としての所感

わたしは2017年次にソムリエを取得しましたが、当時はすべて独学で勉強をしていました。二次試験対策をやってくれるお店を探すのに苦労した記憶があります。

お店に予約をして、5,6軒ほど回りましたが、お金も時間もかかるし、お店の人に迷惑をかけないようにと気を遣ってなかなか集中できず。また、自分でワインを買って揃えても、国や品種はあらかじめわかっているので純粋なブラインドができなくて苦労しました。

その点、今回のオンラインでのティスティング講座では以下のようなメリットを感じました。

・自宅にいるだけでワインキットが届く
・直前の瓶詰めと行き届いた管理で、ワインのコンディションが統一されている
・自宅で受講できるので交通費やお店に行く手間が省ける
・落ち着いた環境で受講できるので知識がしっかりと身につく
・チャットでの質問を即答してくれるので疑問を残すことがない

また、同時に独学でのデメリットも多く感じました。

・試験対策をやってくれるお店を探すリサーチのコスト(これが結構大変)
・お店まで行く時間と交通費、飲食代のコスト
・お店の人や周りのお客さんへの気遣いで集中できない
・お店によってワインの管理やグラスの提供が異なるのでワインのコンディションが違う

ワインラバーはもちろん、ソムリエにもおすすめ

今回の講義は、ワイン好きな方にももちろん受けてほしいですが、特に飲食業界に従事しているサービスマンやソムリエこそ受けるべきだと思いました。

「マウスウォータリング」や「フェノリック」といったトレンドをつかんだコメント表現や、料理とのペアリング、仕入れやワインリストのラインナップ、お客様への説明など、サービスでの仕事に活かせそうなヒントがたくさん得られます。

また、100mlサイズで6種類試せるだけでもお得なのに、講義も聞けて知識を楽しく身につけられるのに税込みで5500円は安すぎでは!?と思いました。

わたしが当時ソムリエ受験時代にティスティングにかけた膨大な時間と費用は一体…笑

また、後日録画動画をメールでいただけるので、改めて復習として見れるのが嬉しいです。
わたしは講義中、必死に忘れないようにと画面のスクショを取りまくっていましたが、佐々木氏が講義で使っていたパワポの資料も録画動画と一緒に共有されます。

次回、「ブラインドティスティングの世界Vol.2」の開催日は12月18日。
・ワインの知見を広げたい人
・ソムリエ受験を考えている人
・ソムリエとして仕事をしている人
にぜひおすすめしたい講義です。
トップソムリエと学ぶブラインドティスティングの世界Vol.2

関連記事